そもそも研修にはどれほどの価値があるのか、その中でも入社したての新入社員を育成する新入社員研修にはどれほどの意義があるのか、人財育成担当者なら一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか?
研修と業務、どちらの方が人はより成長するのでしょうか?
私自身これまでずっと研修に携わってきましたが、それでもそれは言うまでもなく業務だと思います。
正確に言うと、業務において高い壁を乗り越えていくことだと思います。
しかし、新人にいきなり大事な業務(=高い壁)を任せて失敗させるわけにはいきません。
ではどうすればよいのでしょうか?
その答えは、大事な業務を遂行することができるスキルを新人研修で身につけさせることだと考えています。
私は、その"大事な業務を遂行することができるスキル"を"実戦力"と定義しています。
もちろん業務内容によってはそれが非常に困難なケースもあるでしょうし、実戦力を身につけさせようとすれば、それなりに長い時間(=コスト)を必要とするので、ビジネスの状況的にそれが許されない場合もあると思います。
しかし、ビジネスマナーなど本当に最低限必要なものだけを教えられてすぐに現場に配属され、難易度の低い仕事しか与えられない人と、研修によって現場に配属されるタイミングが遅くなったとしても、最初から難易度の高い仕事を任される人とでは、結果的にどちらの方が成長するのでしょうか?
私も厳密に両者を比較測定したわけではないので、一概に断定することはできません。
しかし、それでも後者の方が、
①難易度の高い仕事に対するやりがいから生じる"成長したい"という意欲
②自分に課せられた責任の重さから生じる"成長しなきゃ"という焦り
③高い壁を乗り越えたことから生じる"成長できる"という自信
の3つ、すなわち"成長力"が、圧倒的に高いと感じています。
現場に配属されるタイミングが遅くなれば、その分の機会損失も生じるので、短期的に考えれば明らかに得策ではないと思いますが、3年後・5年後・10年後の成長を考えたときには、実戦力の強化は非常に重要なポイントだと思います。
実戦力を早急に身につけ、難易度の高い業務をいち早く任され、それを乗り越え、成長力によって飛躍的に成長していく、これこそが理想的な成長モデルではないでしょうか。
そして、その土台となる実戦力と成長力を身につけさせることこそが新入社員研修の果たすべき役割であり、そこには大きな意義があると考えています。
こんにちは。
新人にも、内田さんがおっしゃるとおり、ある程度の時間・コストをかけて研修で実践力を身に付けてから現場に出したほうが良い新人と、いきなり現場に出して現場でもまれたほうが成長が早い新人がいると思います。
入社時に見極めて選別するのも新人同士で変な競争意識を植え付けてしまうし、かといって上記の前者の新人に合わせて後者の新人も中長期の研修をさせると成ると、会社のコスト・機会損失も、特に大企業でなければ計り知れないのではないかと思います。
このあたりの、内田社長のご意見をお伺いしてみたいです。
投稿情報: Hiro | 2008年6 月 5日 (木) 11:22
こんにちは。
私の意見としては、記事でも述べている通り、実戦力と成長力を身につけ次第いち早く現場で実践経験を積むのが最も効率が良いと考えています。
ただし、その実戦力・成長力が身につくスピードに個人差があるので、それが遅い人は「研修でじっくりタイプ」、速い人は「現場でもまれるタイプ」となるのだと考えています。
本来は、コストや機会損失を軽減するという観点から、それらを身に付けた人から順に現場に行くのが良いのだと思いますが、全体の成長効率を考えたときには、ある程度足並みを揃える必要はあるのではないかと考えています。(もちろん成長が速い人を飽きさせずに、さらに成長させられるような仕組みを提供しなければならないと思いますが)
投稿情報: | 2008年6 月10日 (火) 11:30
内田社長、ご返信ありがとうございます。
なるほど。全体の成長効率を考えて、会社ごとに新人研修期間を決めるのですね。ご意見ありがとうございます。
投稿情報: Hiro | 2008年6 月16日 (月) 12:32